GPS衛星システムは、地球上のどこからでも常に4個以上のGPS衛星が見えるような衛星軌道で地球を周回して(GPSコンステレーション)、ユーザが現在位置の計算に必要な様々な情報を航法メッセージとして常時送信しています。航法メッセージは測距信号に乗せて50bpsのデータ速度(毎秒50ビットのデータ)で送られてきます。航法メッセージには、衛星時計の補正パラメータ、エフェメリスデータ(その衛星の詳細軌道情報)、電離層補正パラメータ、UTC補正パラメータ、衛星の健康状態、アルマナックデータ(全GPS衛星の概略軌道情報)などがふくまれます。航法メッセージは、5組の300ビットのサブフレームから構成されるフレームという単位で送られます。即ち、1フレームは1500ビットで構成され受信するのに30秒かかります。
5組のサブフレームの内、初めの3個のサブフレームはエフェメリス等の送信しているGPS衛星に固有のデータです。残りの2個のサブフレームには、軌道上にある全てのGPS衛星の情報(アルマナックデータ)や電離層補正パラメータが含まれます。これら残り2サブフレームに乗せるデータ量は衛星数も多く多量なデータのため、25フレームに分けて送られてきます。従って、全ての情報を受信するには30秒×25で、12.5分かかります。しかし、実際にGPSキャディーを使うと、もっと短い時間で使用可能になる場合が多くあります。GPSキャディーは、これらの航法メッセージ情報を受信するとアルマナックデータが内部メモリーに記録され、電源が切られても保存されます。次に使う時には、このアルマナックデータ情報を利用してGPS 衛星位置を判断し捕捉します。このため、1分から数分で測位できるようになります。これをウォームスタートと言います。しかし、前回使用した時から、長時間時間が経過した時や、次に使う時に場所が大きく移動している場合には、GPS航法データを新たに再入手する必要があり、時間がかかります(コールドスタートと言います)。