GPSキャディー講座 – 8. GPSシステムの位置測定誤差 (2)

2011年6月23日 カテゴリー:GPSキャディー講座

  最近の多くのGPS測位用のチップ(LSI)は、より正確な位置測定を実現するため、航法メッセージに含まれる補正に更なる補正も取り入れています。

  補正の方法は色々ありますが、代表的な方法は、賢明な皆さんなら意外に容易に想像がつくものです。先に述べたように、測位誤差の主な要因は、その時の衛星位置の誤差、衛星時計の誤差、電離層伝搬による遅延等です。これらの要因は、近くにある受信機に共通して同じように影響します。もし、位置が正確に分かっている場所でGPS測位を行い、ある誤差が出たとすると、近くの受信機にも同じ誤差の影響が出ているはずです。それならその差分(Differential)を補正すれば良いということになります。これがDGPS(Differential GPS)と呼ばれる補正方式です。この目的のために、正確に場所が分かっている所に置かれているGPS受信機をDGPS基地局と呼びます。

  DGPSの代表例として、日本の海上保安庁は日本の沿岸全域がカバーできるように、全国27か所にDGPS基地局を設置し、ディファレンシャル情報(補正値)を中波帯域(283.5~325.0kHz)を使って放送しています。この補正値で補正することにより精度は1m以下になるとしています。しかし、GPSキャディーでは、中波帯域の受信機の搭載の負担が大きいこと、搭載してもゴルフ場では受信が難しいこともあり、このDGPS方式 は採用していません。

日本国内のDGPSの有効範囲

  尚、海上保安庁の観測データによれば、GPS測位精度は次のように変動します。

  • 緯度が高い場所ほど精度が良い。
  • 季節的には7月が最も精度が良く、10月~2月は精度が悪くなる。
  • 一日の中では、午前中は精度が良く安定しているが、午後になると精度も悪く不安定になる。

  GPSキャディーで採用しているDGPSは、SBAS(Satellite Base Argumentation System)と呼ばれる衛星を利用した広域のDGPSシステムです。即ち、衛星からGPS補正データを放送します。衛星としては、ヨーロッパではINMARSATが用いられていますが、日本及びアジアではMTSAT(ひまわり)が用いられています。私自身、米国のスペースシステムズロラール社を支援してMTSAT1号機の受注から開発にかかわったので大変思い出のある衛星です。このMTSAT衛星を利用したSBASシステムをMSAS (MTSAT Satellite Base Argumentation System)と呼びます。

  MTSAT1号は、1999年11月にHⅡロケット8号機で打ち上げられましたが、ロケットの第1段の故障で制御不能となり、地上からの指令により爆破されました。

  MTSATの後継機により、MSASの運用は2007年9月に正式に開始されました。MSASは、広域のDGPS機能の他に、GPS衛星としての機能と、衛星の健康状態に基づき測位精度の信頼度に関する情報を放送しています。

MTSAT 1号機
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