銀座1丁目にある「奥野ビル」という、1932年に建てられたアンティークのビルに行きました。
ビルの建て替えが驚異的なペースで繰り返される銀座において、戦前からほとんど変わっていない奥野ビルは特に貴重な建物だといえます。
もともとはアパートとして運営され、かつては舞台役者が住むような、今でいえば高級マンションのような建物だったそうです。
その地下には住人のための風呂があったそうですが、それが不要になって随分たちます。
今の奥野ビルでは、個性豊かなショップや画廊がテナントになっています。
奥野ビルを訪れる人は、必ずといってもよいほど、そのエレベーターを見て驚きます。
このビルのエレベーターは、乗る人が自ら扉を開閉する、手動エレベーターなのです。
私は奥野ビルへ行くまで、手動エレベーターに乗ったことがありませんでしたし、誰かに教えてもらうまで、その操作法がわかりませんでした。
奥野ビルの通路を歩いていると、遠い過去のものとなった昭和の世界に入っていきます。
当時はハイカラであっても、今の常識でいえば天井が低いし、通路の幅は狭いです。
ですが、カメラを首からぶら下げた若くておしゃれな来訪者を随分見かけますし、SNSや旅行情報webサイトで話題になっているのか、海外からの観光客が絶えません。
奥野ビルは令和の時代においても人を惹きつけます。その理由は何でしょうか。
きっと、「変わらなかった」ことが「価値」となったのでしょう。
不動産という商品にとって「築87年」「手動エレベーター」は通常、マイナスの要素でしかないのですが、奥野ビルの場合、それがかえって、魅力となったのです。
歴史的な建造物が多い銀座を見渡しても、そんな独特な「価値」を誇るビルはなかなかないです。
商品の「価値」は様々ですが、私は、その中でも揺るがないものを誇る「ゴルフウォッチ」を追求していきたいです。